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シネマの秘密

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シネマの秘密

vol.34 「LOOPER ルーパー」 [2013/1/10]
© 2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED


未来の自分を殺せるのか―?
タイムトラベル映画の常識を打ち破る、新たなシチュエーション。


***** あらすじ *****

タイムマシンの開発が実現するも、法律で使用が禁じられている近未来。
法を恐れぬ犯罪組織が、消したい標的をタイムマシンで30年前に送り込み、「ルーパー」と呼ばれる殺し屋に殺させていた。
腕利きのルーパーであるジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)はある日、いつものようにターゲットの抹殺指令を受けるが、 未来から送られてきた男(ブルース・ウィリス)は30年後の自分自身だった・・・。

***** 解 説 *****
© 2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

映画と言えばハリウッド。そのハリウッド映画のイメージって一体どういうものでしょうか?
人によって違いはあるでしょうが、起承転結がキッチリしていて、お金をかけた爆破とカーチェイスに銃撃戦、 そして、美男美女、だいたいこんなイメージだと思います。
どれも同じに見え、マンネリズムを感じるせいなのか、ハリウッド映画は観ない、ひいては映画自体を観ないという人って結構いると思います。
でもこの「映画と言えばハリウッド」というのは、映画百年の歴史を考えれば、ずっとそうだったわけでは無いんですね。
半世紀前に遡り、「映画と言えば」と人に尋ねたら、ヨーロッパ映画との答えが返ってきた状況があったわけです。
フランソワ・トリュフォーとジャン=リュック・ゴダール、イングマール・ベルイマンにロベルト・ロッセリーニ、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティ。
映画の枠組みを再定義し、表現の可能性を追求する、当時はそういうものこそが映画だったわけですね。
もちろんその後、スティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカスの登場で、再び「映画と言えばハリウッド」という時代を迎えるわけですが。

ここに一人の映画監督がいる。彼の名はライアン・ジョンソン。
アメリカの評論家から熱い注目を集める若き名匠で、過去2作「BRICK/ブリック」「ブラザーズ・ブルーム」は 日本ではビデオスルー扱いだったのですが。
彼の作品はハリウッド映画でありながら、どこかヨーロッパ映画の香り漂う作風。
入り口はジャンル映画なんだけども物語が意外な着地点に帰結する、なので観賞後の印象が違う。
そのジャンル映画が好きな人にとっては肩すかし食らった感じになりそうですが。

© 2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

そんな彼の新作が遂に日本でもロードショー公開されます。
映画「LOOPER/ルーパー」を観てきました。
「30年後の未来」から送り込まれてくる標的を処理するために雇われたジョゼフ・ゴードン=レヴィット演じる殺し屋の苦闘を描いた SF映画である本作。
あらすじを聞いただけで、1984年公開のジェームズ・キャメロン監督の映画「ターミネーター」や、 1985年公開のロバート・ゼメキス監督の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を彷彿とさせるためか、 本作のモチーフは1980年代ハリウッド映画ではないのかな?と感じました。
1988年公開のジョン・マクティアナン監督の映画「ダイ・ハード」でスターの仲間入りを果たしたブルース・ウィリスを起用している事はもちろん、 主人公の使用する銃や空飛ぶバイクなどガジェットの面白さや未来描写に1982年公開のリドリー・スコット監督「ブレードランナー」 を連想させ、 また劇中流れるオールディーズナンバーがリバイバルしたのも1980年代だったりしますね。

まあ、ああだこうだと書きましたが、この映画はそんな「ああだこうだ」が浮かぶくらい 一筋縄ではいかない作品。。
練り込まれた背景設定がそう思わせるのかも知れません。
本作の時代設定は2044年、現代から約30年後の設定。
一昨年、アメリカの各都市で格差社会撤廃を掲げたオキュパイ運動が巻き起こりましたが、 本作で描かれる2044年ではその格差がより 深刻化した社会になっています。
国民は路上で暮らし、特権階級が栄華を極める超格差社会。後半、犯罪組織が主人公を追いつめようと行動を開始するわけですが、 その中に制服警官の姿もチラホラと。
2044年では公権力を犯罪組織が表だって管理下に置いている、これはまさにディストピア。
ここからさらに「30年後の未来」が大きく関わってくるんですが、劇中の出来事次第で「30年後の未来」も形を変えていく (その トリックを使ったポール・ダノ演じるセスに対して行われる拷問が本当に恐ろしい)。
つまり、これは今、現在。劇中世界の30年前である、この映画を観ている2013年の我々の選択次第で未来がディストピアにもなりうるし、 ユートピアにもなりうるかも知れないという事を表しているような。

ちなみに今から30年前は1980年代だったりしますね(本当、昭和は遠くなりにけり)。

決して派手な映画では有りません。ましてや見せ場であってもおかしくない銃撃戦も 今時では珍しい平面的な撃ち合いにすぎず、イマイチ迫力にかけていたりします。。
しかし、タイムトラベルを題材にしたSFスリラーでありながら、後半から一つの家族の話へと物語が収束し、 愛情をこめて子供を育てる事こそがより良い未来を作るのに必要、というメッセージが浮かび上がってくる感じには、 感動をおぼえずにはいられませんでした。

ありきたりのハリウッド映画に飽き、といってもヨーロッパ映画は敷居が高すぎるとお思いのアナタ。
ちょうどその中間点の様な雰囲気を持つ映画「LOOPER/ルーパー」なんていかがでしょう?

それと、新進気鋭の若手俳優であるジョゼフ・ゴードン=レヴィットが、 「世界一ツイテない男」ことブルース・ウィリスへと変貌していく場面は必見です。

この映画、オススメです。

(F)

タイトル  : 『LOOPER ルーパー』
監  督  : ライアン・ジョンソン
キャスト  : ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ブルース・ウィリス/エミリー・ブラント
配  給  : ギャガ株式会社
上映時間 : 1時間58分
公  開  : 2013年1月12日(土)より丸の内ルーブル他全国ロードショー
リ ン ク  : 『LOOPER ルーパー』オフィシャルサイト